障がい者を取り巻く環境

みなさんこんにちは。

 普段何気なく生活する中で、何らかの心身の障害に関して、また障がい者本人、その家族について考えたことはありますか。

 当たり前に健康的な生活を送れていても、いつ自分が何らかの障害を抱えることになるかは、わかりません。また同様に大切な家族、知人が障害を持って生活することになる場合もあります。

 そんな時に、少しでも障害に関することを知っておくことで、誰かの助けになることがあります。

今回は、障害、社会福祉に関する内容をお伝えします。

共生社会とは

 今を生きている全ての人、障害のあるなし、性別、年齢に関わらずお互いの人権や尊厳を大切にし、支え合う、それぞれの幸福を追求する社会を「共生社会」と言います。
 様々な状況下で、分け隔てなく支え合える「共生社会」をつくるには一人一人の認識が重要となります。
 何人も、基本的人権を生まれながらにして持っており、障害のある人もない人も普段の生活や、スポーツを楽しみながら生活しています。

 「共生社会」の概念には、障害を持つ人を一方的に助ける、というものはなく全ての人が助け合い、共に生きていくことを意味しているため、人々の生活や心の中に「障がい者」という括りがなくなることを意味しています。

「障害者権利条約」という2006年にできた世界のルールがあります。

 障害や性別、肌の色といった「違い」を否定するのではなく、違いこそがその人らしさであり個性として一人一人の人権を大切にしようという条約です。
 この考えをもとに、特別な括りの差別をなくしていかなければなりません。

 日本には、16人に1人、体や心の機能に障害がある人がいると言われています。障害とは、言い換えるとバリアです。
例えば、車椅子で生活している人が、とあるお店に行った時、階段や狭い通路でお店に入れないことがあれば、それはバリアとなり生活を困難にさせます。

 体や心の機能障害だけでなく、社会や環境がつくるバリアによっても「障害」が作られてしまいます。この様な認識のもと、社会と心身の機能障害の両方で作り出される「障害」のことを「障害の社会モデル」と言います。

 全ての人が「障害の社会モデル」を理解し、当事者目線で日常生活を見つめ直すことができれば、具体的なバリアが見えてきます。そのバリアを一つ一つ取り除くことを実践し、社会全体に「心のバリアフリー」の考え方を浸透させることが「共生社会」の実現には重要となります。

心のバリアフリーとは

 心身の様々な特性や考え方を持っている全ての人が、会話や支え合いの中から相互理解し、バリアを一人一人認識し取り除くことで、「心のバリアフリー」を可能にします。

「心のバリアフリー」の実行には3つのポイントがあります。
  1. 障害のある人の困りごととなる「障害の社会モデル」を理解し、
    取り除くことが社会の責任であると理解します。
  2. 障害のある人、その家族に特別な括りをせず、
    共に生きる一人一人の個性として認め合います。
  3. 違いのある人とのコミュニケーションを積極的にとり、
    全ての人の困りごとやバリア、痛みを想像し、共感します。

 これらの実現には、障害に対しての基本的な知識や障害の状態に応じた接し方の基本を学ぶことが重要となります。学ぶことにより、障害のある人の尊厳を大切にし、様々なバリアを排除するために周囲の人や社会の無理のない配慮とは何かが明確になります。

 「心のバリアフリー」とは、今の生活の中にある「障害の社会モデル」に気づき、実際の「バリア」に関心を持ちその解消には何が必要か、何ができるかを考え学び、実践することを意味します。

バリアに気づくためには

 世の中にある様々な「バリア」に気づくには、心身の機能障害を持つ人々の生活を知ることが重要です。機能障害を持つ人々の「バリア」の感じ方は人それぞれです。世の中にはどの様な心身の障害があり、どんな困りごとがあるかを知ることから始めましょう。

 今は、様々な媒体で心身の機能障害に悩む人々が発信をしています。直接に話す機会が無くとも、多くのSNSなどでどの様な「バリア」を感じているかを知ることができます。
 実際に生じている「バリア」を知った時に、自分がどう感じ、何ができるかを考え、行動して行くことで「心のバリアフリー」から「障害の社会モデル」解消につながり「共生社会」が実現していきます。

障がい者のための支援制度を知る

厚生労働省での障害に関する様々な調査では「身体障害」「知的障害」「精神障害」3つの区分に障害が分けられています。

◼️「身体障害」

 先天的、あるいは後天的な理由で身体機能の一部に障害を生じている状態のことをいいます。身体障害者福祉法に基づいて「身体障害者手帳」の交付を受ける必要があり、障害者総合支援法などによる各種の福祉サービスを受給することができます。
 全国に、430万人ほど「身体障害」を抱えて生活されている方々がいます。
(出典:内閣府 「令和元年版 障害者白書」)

 身体障害者手帳の交付対象となる障害の範囲は、身体障害者障害程度等級表により「1級から7級」までの区分が設けられています。数字が小さいほど重度な障害とされますが、障害が重複すると該当級が上がります。

対象となる障害には以下のものがあります。

  • 視覚障害・聴覚障害
  • 平衡機能障害
  • 音声・言語・そしゃく機能障害
  • 上肢・下肢・体幹障害
  • 心臓障害
  • じん臓障害
  • 呼吸器機能障害
  • ぼうこう又は直腸機能障害
  • 小腸機能障害
  • 肝臓機能障害
  • 免疫(ヒト免疫不全)機能障害

 取得条件は、その障害が永続し生活動作に支障がでる場合のみとなり、一時的な病変での身体障害者手帳の取得はできません。各都道府県への申請が必要となります。

◼️「知的障害」

 18歳ごろまでの発達期に脳に何らかの障害が発生し、「考える、理解する、感情をコントロールする、話す」などの知的能力の障害や、コミュニケーション障害が生じ、社会生活への適応が難しい状態をいいます。

 全国に、96万人ほど「知的障害」を抱えて生活されている方々がいます。
(出典:内閣府 「令和元年版 障害者白書」)

 知能指数(IQ)と、適応能力の基準となる「日常生活能力水準」の程度によって障害程度が区分けされます。日常生活能力水準は「a〜d」の4分類で、aに近いほど自立した生活を営むことが難しく、d に近いほど自立した生活が可能と判断されます。

境界域:知能指数は70〜80程度で、知的障害とは認定されない場合が多いです。

軽度:知能指数は50〜70程度で、暗算やお釣りの計算、抽象的な思考や文章の読み書きに不自由なことが見られます。身の回りのことを行うことには支障がないことが多く、適切な支援があれば、家事、子育て、仕事等社会生活をうまくできます。

中等度:知能指数は35〜50程度で、成人でも、学習技能は小学校程度の水準に留まっていることが多いとされています。複雑な社会的判断や意思決定には支援が必要となります。職場環境や職種によっては支援を受けながら自立して仕事をすることも可能となります。

重度:知能指数は20〜35程度で、大部分に合併症が見られます。言葉や数量、時間や金銭の概念を理解することが難しく、生涯を通じて食事、身支度、入浴などの生活の支援が必要となります。コミュニケーションは単語や短い文によって簡単な会話は可能とされています。

最重度:知能指数が20以下で、大部分に合併症が見られ、寝たきりの場合もあります。身振りや行動、感情が描かれたカードなどのコミュニケーションツールを使って意思疎通ができることもあります。日常生活は他者からの支援を必要とすることが多くなります。

 知的障害は、地方自治体の裁量で各都道府県により療養手帳(知的障害者福祉手帳)が交付されており、各種福祉サービスを利用することができます。

◼️「精神障害」

 統合失調症やてんかん、うつ病、そう病などの気分障害、アルコールや薬物依存症、人格障害などで日常生活や社会生活が難しい状態のことをいいます。

 全国には390万人ほど「精神障害」を抱えて生活されている方々がいます。
(出典:内閣府 「令和元年版 障害者白書」)

 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき、精神障害者は「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受け、各種の福祉サービスを利用することができます。

 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令」により、1級から3級までの区分が設けられています。

1級:日常生活を送るための身支度やコミュニケーションに支障が出る程度重度な状況とされています。

2級:日常生活にいちじるしく制限を受けるか、制限が必要となる状況。援助があれば、身支度、金銭管理、通院などを行うことができる状況とされています。

3級:日常生活、社会生活に多少の制限は受けるが、食事、身支度、買い物、通院などをおおむねできるが援助を必要とする場合もある状況とされています。

対象となる疾患は以下の疾患となります。

  • 統合失調症
  • うつ病
  • そううつ病などの気分障害
  • てんかん
  • 薬物やアルコールによる急性中毒又は、その依存症
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
  • その他の精神疾患(ストレス関連障害)

 社会生活・日常生活を送る際に制約がある人の支援や自立の目的で「精神障害者福祉保健手帳」を取得することができます。

 都道府県知事・指定都市市長に申請し、2年おきに更新する必要があります。

こちらのページを参照して記載しております。
【内閣府 ホームページ】

共生社会を目指す中で

 「身体障害」「知的障害」「精神障害」の区分に分けられていることを知り「障害の社会モデル」を理解し「心のバリアフリー」を実現することで、一人一人の考えを元に実際のバリアを取り除いていくことができます。

 我々ネクストレボリューションは、テクノロジーの力で人と人をつなげ、一人一人が活躍できる社会の実現を目指しています。今後とも、障害を持った本人、家族を支える仕組みを作っていこうと、そんな施策を考えております。

 例えば、重度のてんかんを持っている寝たきりの子供の衣類着脱を無理なく行えるウエアを販売している会社があります。

 そのような会社は、今ある日常の「バリア」を見つけ、何らかの病気を持つお子様の看病から「バリア」を除き、お子様本人の着心地の追求も実現しております。「障害の社会モデル」を排除し、分け隔てなく日常生活を送れる「共生社会」を目指す中で、このような気づき、行動が重要となることを感じています。

 日常の「バリア」に気づき、解消していく活動を我々は応援し、我々自らも、テクノロジーにより一人一人が活躍できる様、多くの「バリア」を解消していきたいです。

 一人でも多くの人を笑顔にできるように、企業としても社会福祉活動に積極的に取り組んでいこうと思います。

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